なんの変哲も無い外観ですが・・
去年の6月頃でしょうか、手作りアンプの会のMLで電流正帰還アンプの話題で盛り上がっていました。「ふむふむ、発振だぞ・・」正直な感想です。でも、発振しないようにすると、結果は「すごい!」だそうです。その頃、仕事が忙しく試してみたいけど暇が無い、気力が無い、状態でした。(今も気力が無い状態は続いていますが・・)数ヶ月が過ぎ12月になり恒例のお寺の大会が迫ってきていました。何か変わったことをせねば・・と何日か悩んでいたところ、以前作った6360の回路が目に留まりました。んん?これは電流正帰還かもしれない。6360では最後の仕上げとして、SDとトランスの間から初段に帰還していました。ここからだと正帰還になります。SDがダイオードではなく抵抗なら、電流正帰還そのものです。この6360アンプですが超3らしくない軽く明るい音で、私は6360特有のものかと思っていました。よくよく思い出すとSDから帰還をかけて軽い音となったのでした。なら、盛大にやってみよう(QRPですが)とテーマアンプは電流正帰還にする事としました。6AS6があれば簡単に作れるし、その上シングルアンプで作れるし・・・
大会まであと3日。時間が無い。その上、私はシャーシ加工が嫌いです。以前作ったアンプのシャーシを流用することにし、E90CCをバラすか、6AS5をバラすか、迷い、6AS5とサヨナラすることとしました。(これも面白い回路でした。いつか復活させたい)出力管はQRPとのことで迷わず6AN5としました。そう云えば3結を試していないので、3結も試す良い機会としました。まあ、フルパワーを得るのが目的ではないですから、カソード抵抗はエイ!ヤ!で決めプレートが赤くなるようなら変える事としました。回路はこんなもんです。
6AS5の分解から1時間ほどで回路が完成し、火を入れてみました。まだ、電流正帰還はかけていません。なかなかの音であります。6AN5は素性の良い球ですね。無帰還でも良い感じです。6AS6が過剰にマイクロホニックを拾うことも無いようです。音が出る事を確認しましたので、電流正帰還を組み込むこととしました。ここでポイントとなるのは6AS6です。この球G3に感度があります。G1の1/10程のgmを持っています。検出用の抵抗を最初100Ωで試しました。すると、見事ブーンで発振します。発振したと言うことは正帰還だと言うことですね。100Ωから30Ω、10Ωと変え発振は止まりました。本当は発振ぎりぎりに合わせるのが正しいのですが、まあ、良しとしました。
中を見せて如何する。
電流正帰還を適応してアンプの音は軽い感じに変化しました。芯はちゃんとありますが軽い感じです。特に、低域は私好みの軽い低音です。(薄い低音ではなく軽い低音)しかも、パワフル。特にテスト中、久しぶりに隣の部屋の食器棚がガタガタ言う現象が発生しました。エネルギーの伝達が良いのでしょうか。QRPアンプなのに・・・
ボーカルや単音に関してはピカイチです。
ハムが出ます。それも盛大に。他のアンプではほとんど出ないのですが、最初盛大に出てあせりました。よくよく考えると電源付近から帰還をかけているため普通のアンプ以上にハムが出やすくなっています。電源に残るリップルを増幅しているわけですから、当然ですね。ここは、簡単に巨コンを付けてハムを抑えました。でも、少し残っています。これ以上は危険なので試していません。
取り付けた巨コン。対策というより無策か。
シングルアンプの電流正帰還化は簡単です。別に初段が6AS6でなくても簡単に実験できます。超3と組み合わせてもOKでしょう。こてこての古典に組み合わせても面白いと思います。今年はこれで行こうかと思っています。只、ハム対策は考えてください。
2002/02/11