12HG7強NFアンプ

ハイGm管は音が悪い?ホント?

12HG7KNF.JPG
6360アンプに似た構成です。


12HG7について

オーディオ用真空管マニュアルの映像増幅管の後ろのほうを見ていると、Gmが異様に高い球が出てきます。6KY6,7KZ6,9KX6,12GN7,12HG7などがそうです。一般にハイGm管といわれる球です。12HG7と12GN7は同等管でGmは36mもあります。これはEL34三本に相当する値です。設計が行われたのは60年代後半から70年代はじめとされています。言わば最後に設計された真空管です。(それ以降も新しい球は出てきていますが特殊な用途の物です)第一グリッドはフレームグリッドで微細な加工が施されています。ヒーターは板状のダークヒーターで長寿命との事です。
この球に行き着いてのは12BY7の音を聞いたのがきっかけです。12BY7はこれらハイGm管の先祖のような球で、映像増幅管の元祖です。12BY7の音ですが、木目が細かくクリアな音です。私はこの音はGmが高いからと勝手に解釈し、もっとGmの高い球を使ってみたくなりました。(後から知ったのですが、12BY7は独特の鳴りがあるとの事です)そこで、かねてから気になっていた12HG7を手に入れアンプを作ってみることとしました。最初、単段電流アンプもどきをつくり、結果は思いのほか良好だったので、すっきり系の強NFでアンプを作ることとしました。

回路はいつもの強NF

回路は6Y6の時の前段をそのまま持ってきました。いつもの回路です。最初、年末のお寺向けにT600−600を片ch4本使用したのですが、インダクタンスが下がりすぎ上手くいきませんでした。後日気を取り直して7Kのトランスをパラに接続し上手く鳴るようになりました。以下に回路を示します。

12HG7KNF.gif
回路図上のコンデンサの値が一部間違えています。実際に作る方は(いないと思うが)メールで問い合わせてください。

この回路を実際に実装するには配線を極力短くしたほうが良いでしょう。12HG7はバイアスが2V程度しかありません。たぶん、発振しやすいと思われます。(実際に発振はしたことはありません)また、電源のコンデンサを外付けて4000uFほど追加して使用する様にしています。

12HG7KNFins.JPG 12HG7KNFS.JPG
内部配線と横から見た写真

音は如何ほど?

音は然程強烈と言う訳ではありませんでした。強NFと言うことで超3と比較すると、すっきりした音です。所が、12BY7のような高域のキラキラした感じはありません。むしろ、落ち着いた感じの音です。12BY7と比較すると重心が低い感じです。解像度は高く繊細ではあります。もちろん、聴くに耐えない音はしません。常用としては良いと思われます。

2001/06/24 田村