12HG7 4パラ強NFシングルアンプ

6AN5 8パラの音が忘れられなくて・・

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またまた多数パラ接続の登場!


6AN5再び

最近、6AN5 8パラの調子がおかしくなりました。変なノイズが入ってしまいます。22本も真空管が立っていると、メンテナンスをする気も起きなくなります。そんなある日、ホームページのカウントが10万を超えようとしていました。何か記念行事をとの事で、スタッフで相談の結果、試聴会を行う事となりました。所が我が家には広い視聴覚室でDS−800なる低能率SPを鳴らせるだけの高出力のアンプがありません。(QRPなんて言ってるぐらいですから・・)何か作らねばと日々頭を悩ませました。EL34パラで行けば出力は十分出るけど、音がいまいち・・と、いろいろと迷った結果、12HG7 4パラに行きつきました。6AN5 8パラに匹敵するアンプをつくりあの音を再び聞きたいと、ようやく作る意欲が沸いてきたのでした。
12HG7を4本パラで行けば、有に6AN5 8パラのGmを超える事ができます。12HG7はPP10Wで片ch150mAも流せばかなり出力も出そうです。

出力トランスをどうするか

6AN5ではT850−600を3パラで使用しました。ここに無理を承知で250mA流していました。T850特有の抜けの良い音が出ますが、どうしても少し荒れた音になってしまうのは仕方ない事でした。今回は一般の方も見えられる試聴会とあってちゃんとしたアンプを出すように幹事長の江口さんから言われています。困り果てた結果、手持ちのF475 4本プラス、江口さんから2本お借りして、3パラに挑戦する事にしました。これなら、150mA流しても大丈夫です。

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こんなになっちゃいます

しかし、F475 6本は重過ぎるし、デカすぎるし、いっしょにアンプを組み込む事は諦める事にしました。この重量とサイズではアンプをきちんと組み上げる事は不可能と思われます。(中には作る人もいるのでしょうが、私はパスです。)また、一台のアンプにこれだけ高価なトランスをつぎ込むのも勿体無いです。いろいろと迷った結果、ユニバーサル電源のように外部出力トランスとする事にしました。これなら、アンプの製作は楽だし、トランスの有効利用も可能です。

回路は強NF

強NFと言う名前の由来ですが、差動入力で超3よろしく、どっさりNFをかけるアンプを作ったときに苦し紛れに出た名前です。NFに非直線素子が入らない為、超3の押し出しの良い低域が果たしてNFによるものなのか、非直線によるものなのか区別がつくだろう、と言うのが始まりです。既に何台も作ったので回路は大体決まっています。今回入力部は6AN5 8パラの時と同じ、6AS6を差動で使用する事としました。前回より電流値を絞り、高抵抗を負荷に使用しゲインを稼ぐことにしました。6AS6は70Vもあれば動くので片ユニット1mAとして200Kの負荷が使用できるようにしました。所がこれが間違いの始まりでした。

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最終回路です。定数はあてにならないので作る人は確認してください。(そんな奴いないと思うが)

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内部配線の様子

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バイアス調整は左右共通(手抜き)

試聴会当日の戦い

家で12HG7 4パラは如何にか一発で音が出て、そのまま試聴会当日を迎えたのでした。家で使っているとき、どうもゲインが低すぎると少し不安だったのですが、実はとんでもない事が起きていたのです。試聴会会場で鳴らしてみると明らかに音量が足りません。予定よりかなり出力が下回っているようです。仕方ないので、秋葉に走り抵抗を買い込んで、NF量を減らす事を一生懸命行いました。最終的には、25倍が250倍に・・・うーん、何処か変です。間違いは定電流の値にありました。私は6AS6のスクリーンの電流をすっかり忘れていたのでした。プレートに十分に電流が流れないためプレートの電位が上がりカソフロ段が動作していませんでした。結果、差動部はほとんど増幅していない状態に陥っていたのでした。当日お聞きになった方は、ほとんど電流アンプ状態の音を聞いたわけです。(申し訳無い!)後日その事に気づき差動部の再調整を行いました。すると、ちゃんとゲインが出るようになったのでした。今となってはどちらの音が良かったのかわかりませんが今は正しい動作をしています。

F475の2次側抵抗値

試聴会当日、以前注文していた特注トランスが届きました。F475は2次側の直流抵抗が以外に高くどうしても3個直列にすると数Ω出てしまいます。でも、これ以外に電流を流す方法が無いので仕方なく使ったいたのでしたが、待ちに待ったトランスが、タイミング良く当日届いたのでした。これは一次が600Ωで何と500mAも流せる仕様です。早速取り替えて本番は特注で行きました。比較するとF475ではどうしても音が甘かったのが、このトランスのおかげでようやくシャンとした次第です。F475は2次からNFをかける様に作ってある為まき数が多く、DCRがどうしても上がってしまいます。このアンプのように一次からNFを大量にかけたアンプではDCRの小さいトランスがベストマッチとなります。東映の安価なトランスが良かったのはこの様な事が理由に挙げられます。

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手作りアンプの会特注トランス

正しい動作の時の音

ようやく、動作を正常にして音を聞くことができるようになりました。音色は狙い通り6AN5 8パラと同じような鳴り方です。パワフルでしかも繊細、我が家の平面SPとの相性も良くどのようなソースをかけても破綻をきたす事はありません。めでたし、めでたし、でした。
さて、せっかく外付けOPTとしたのですから、近々8パラも外付け対応の改造を施しトラブルを治める予定です。電源の共通化の次はOPTの共通化ですね。

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動作中の12HG7 4パラ

2001/06/24 田村