交流電圧計アダプタ

テスターで交流電圧を測定するアダプタを作ろう

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初めに

オーディオアンプを製作し最低限動作を評価するためにかかせない測定器として、発振器と交流電圧計があります。テスターにも交流レンジが付いていますがテスターの交流レンジでは400Hz程度までしか電圧を測る事はできません。そこで、テスター用のアダプタとして理想整流器を作ってみました。このアダプタとテスターを使用する事で交流電圧計を作る事ができます。

回路の動作

幾つか回路が考えられますが、一般的に良く見られる回路と、部品点数の少ない(オぺアンプ1つで作れる簡易的?)回路の2つを作ってみましょつ。2つの回路ともオぺアンプの帰還ループにダイオードを入れることにより非直線特性を補正します。
回路は反転理想ダイオードと反転加算回路を組み合わせた回路です。入力された信号は反転理想ダイオード回路で理想半波整流、且つ反転され出力されます。この時のゲインは1です。次に入力信号と反転理想整流信号を2 ニ1の比率で加算します。図からも分かるように加算された信号は反転全波整流信号になります。更に、反転加算回路ですから、出力信号波形は非反転全波整流波形となります。詳しくは書籍に必ずと言っていいほど、よく出てくる回路ですから調べてみて下さい。(分かりやすい図は後日)
以下に理想整流器の回路図を示します。

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設計にあたってのポイント

 この回路で精度を得るためのポイントはオベアンプのゲインを決定する抵抗の精度です。抵抗の精度のばらつきは、出力信号のー山一山の高さの差、2:1の比率の加算回路の誤差を生み最終的な出力の誤差になります。今回は集合抵抗を使用する事で精度を保証します。集合抵抗は絶対精度はそれほどありませんが相対精度(構成する1本1本のばらつき)は非常に良く揃っています(実測すると最大で0.3%の誤差がありました)又、周波数特性はオベアンプのスルhレートで決まりますので、十分なスルーレートを持ったオベアンプを選びましょう。今回使用するTL072は、15Vのスルーレートを持っていますのでオーディオ帯城では十分な性能が得られると思います。
 しかし、このままでは入力インピーダンスが約5KQ、最大入力電圧±10Vpp、微小信号での分解能などが問題になり、お世辞にも使いやすいとは言えないので、入力段にプリアンプを入れることにしました。プリアンプの仕様は、入力インピーダンス1MΩ、ゲイン設定1/10・1・10・100倍が選べるようにしました。回路は簡単で、入力に1と1/10の抵抗分圧回路、オベアンプのゲインは1・10・100倍が選べるようにし、2回路4接点のロータリースイッチで切り替えます。使用したオベアンプはTL072よりGB積の大きいLF411Aを選びました。回路図を図4に示します。尚、実際に使用する際は出力にテスターを接続し、直流電圧レンジで測定します。尚、入力インピーダンスを1Mにしておくとオシロスコープ用のプルーブが使える様になります。以下に、プリアンプ部の回路を示します。

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あと、9Vの電池はこの手の簡易測定器では非常に重宝します。電源回路も結構大変ですし、長時間の連続使用もあまり考えられませんから。

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この程度の工作で実用となる物が作れます。

1999/06/08
田村