807シングルアンプ

リニアライザ付き


807はアマチュア無線用の送信機のファイナルとして一世を風靡した有名な球です。非常にタフで私がOMさんから聞いた話では、ガラス管が熱で歪んでも問題なく使用できたとか、恐ろしい話をいろいろ聞いた事があります。PA用にも使用されていた様で学校放送のアンプなどによく使用されたそうです。しかし、オーディオ用となると制作記事は幾らかあるようですが、皆口をそろえて「音にならない」と言います。BMの会の定期発表会でテーマに採用され私も作る事となりました。そこでラインアンプで実験済みのリニアライザを全面使用する事に決め制作に取り掛かりました。

807アンプ画像

4本807が立っていますがシングルアンプです。

まず、外観写真を見るとPPと思われると思います。前段用の4本は6AU6です。シャーシが弁当箱シャーシなのは、制作の時間が無かったため手抜きです。更に、電源にいたってはどうにか箱に入れたものの、トランスの頭が飛び出して蓋が閉まりませんでした。ボリュームのようなものが附いていますが前段の負荷調整です。

設計

同一管リニアライザを使用する以外は動作例に従って電圧を決めました。

UY807 A1動作例
Eb:250V Ec2:250V Ec1:−14.5V RK:190Ω

何の変哲も無い普通の動作です。前段の6AU6は三結として負荷に東栄電気のシングル用のOPTをスイングチョークとして使用しています。前段に関しても同一管リニアライザを使用しました。定数に関しては手元にあった部品を使用したため適当に決めました。当時リニアライザの使用例はラインアンプだけだったので前段出力段共にトランスを負荷に使用しました。SRPPでも問題なしと思ったのですが敢えて実績のある回路のスケールアップとしました。

807リニアライザ−1

807は高周波での発信を起こしやすいので配線には十分な注意が必要です。調整中にTVIを出した事もあります。基本的には配線を極力短くする事です。

807内部

調整

制作を完了し火を入れるといきなりボボボとモーターボーディングを起こしました。制作途中で迷った807のSGの処理をリニアライザ下としたのですがここが問題だったようです。電源側に移すと発信は止まりました。(807を制作されていたBMの会の諸兄の家でもボボ・ブラジルは聞かれたとの事です。)CDからのソースを入れるといきなりまともに鳴り出しました。少しハイ上がりな音です。しかし仲間から聞いていたボテボテの低域は出ません。でもちょっと低音が寂しいので少しNFを掛ける事にしました。トランスの2次から取るのは位相がめちゃめちゃになるのでプレートからグリッドに直接1MΩを接続しました。電圧が上がった分グリッドリークに−Cを追加しバイアスのつじつまを合わせ、グリッドカソード間で14Vとなるように調整しました。

807リニアライザ−2

その後

その後807アンプは昨年末の6Y6の登場まで約2年にわたって我が家のメインの座に君臨しつづけました。

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