6AN5小型超3アンプ

安いRF球を使った小型アンプの製作


6AN5とピース


はじめに

 6AN5はあまり知られていない球です。1年ぐらい前、町田のサトー電気で見つけた球です。このお店、他のページでもラジオのキットなどを紹介していますが、この球は2球ラジオのキットで出力用として使用していたものです。「ラジオの製作」に連載されていた真空管ラジオの製作記事に詳しく載っています。約1Wの出力が選られるとの事です。実際に使用しているラジオを聞いてみると結構まともに良い音で鳴っています。300円と手ごろな価格も手伝って2本購入しました。

シャーシ選びと回路構成

 制作する事を決めてから半年が過ぎ、6360アンプが仕上がった頃ついでに6AN5も作る事としました。このアンプの場合なるべく奇麗に可愛く仕上ようとシャーシから探しました。選んだシャーシはタカチのヘアライン加工済みのシャーシで最近良く使用しているシリーズです。電源を別シャーシにするためアンプ部分は非常に小さくする事が可能です。選んだのはYM−115でW115−H20−D80です。次にトランスですが東栄のT−650なら2個重ねて配置する事としました。回路は迷わず超3としました。超3はご存知のように部品点数が少なく、出力の割に迫力のある音が選られます。シャーシに取り付けられる球の数は3本が限度でしょうから、初段はFETを使用する事としました。手持ちの部品入れから2SK30を選びました。次に、双3極管を選ぼうと部品箱を漁りましたが、皆6AN5と高さが同じでサマになりません。仕方ないので、会社の帰りに町田に寄り、背の低い双3極管と言って出てきた球をそのまま買って帰りました。高周波用の双3極管で5670Wという球です。この球は普通の双3極管(X7,T7)とはピン配列が違うので使用される方は注意してください。ちなみにヒーターは6.3Vです。スピーカー端子にはジョンソンターミナルの小型版を選びました。探すのに苦労したのが電源の接続端子で2cmの薄さのメタルコネクターなどは当然ありません。いろいろ探した結果、フィーダー用のコネクタが薄型でサイズ的にちょうど良い事が分かり採用しました。コネクタは中継用しか入手できず、オスをエポキシ接着剤でシャーシに貼り付けて固定しました。更に、ラグ板が高さ制限の為使用できず、FCZのIC用ユニバーサルボードを切って張りつけラグ板の代わりとしました。以下に回路図を示します。

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6AN5超3アンプ回路図

音が出ない

 3時間ほどで配線を終了し電源を入れました。しかし音が出ません。当初R2に8Kを使用していました。初心に帰ろうと5.7Kを探したのですが見つからず、5.1Kに変えると音が出ました。少しクリップが早いようです。いろいろ試した結果4.7Kが最適でした。VR1を調整し最適と思われる個所で止めました。カソードの電圧を測ると29Vでしたから、プレート電流は29mAとなります。

6AN5内部
内部は緯線の様子 とにかく細かい

出来栄えと音色

 シャーシ部分がせっかく奇麗にできたのですから、トランスがむき出しはなんともいただけません。最初ベニヤ板を切って四角い箱を作るつもりでしたが、東急ハンズで6cmΦ高さ10cmのアクリルの筒が売られていたのを見つけトランスケースとしました。透明のままでは変ですので、アルミのヘアラインと良く似たカッティングシートを張り、見た目にはアルミのケースのようにしました。トランス2個の高さが約8cmで内部に2cmの隙間ができるため、SG用のコンデンサを追加しました。トランスカバーを着けると様になります。
 さて、試聴です。最初荒れていた音も1週間を過ぎるとだいぶ落ち着いて、聞いていられるようになりました。音色は6360のアンプに良く似ています。あっけらかんと良く鳴ります。自宅のパネルスピーカーで聞くと外観からは想像もつかない様なまともな鳴り方をします。いろいろCDを変えて聞きましたが、自宅で音楽を聴くためには十分な実力を持っているようです。但し、出力はわずか0.5W程度の為、広い部屋とか低能率のスピーカーではちと苦しいと思います。

6AN5動作中
トランスカバーを着けた6AN5アンプ

1999年1月
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